ソバージュヘアを振り乱し、イライラ、ウロウロ。怒る姿も魅力的な彼女の名はフレディ。アントニオ猪木さんの映画(本日公開)の影響もあり、故ブルーザー・ブロディの影がちらつく。
韓国で生まれ、フランス人夫婦の養子になったフレディは、言葉も文化もフランス仕込みの25歳。初めて訪れた韓国で生みの親を探しはじめたが、養子に出されたことへの拭いきれない怒りに加え、言語の違い、文化の違いも相まって、フランス語が話せる親切な友人にも、やっと出会えた実の父親にも悪態をつき、関係を築けない。
かつて、雄たけびを上げながら会場をうろつく大きな化け物ブロディに観客は熱狂した。しかし、要求通りの評価が得られない歯痒(はがゆ)さは彼を、レスラーではなく、本物の悲しい化け物にしてしまった。ブロディの孤独が、深夜の梨泰院を徘徊(はいかい)するフレディの孤独に重なる。生い立ちも、親も変えられないけれど、未来は自力で変えられる。頑張れフレディ! 監督はダヴィ・シュー。(桜坂劇場・下地久美子)
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ソウルに帰る 桜坂劇場・あす公開 自力で未来変えられる
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琉球新報朝刊
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