有料

年内判決で工事開始か 今後の流れ 県の敗訴、公算大


年内判決で工事開始か 今後の流れ 県の敗訴、公算大
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 斉藤鉄夫国土交通相は5日、辺野古新基地建設で大浦湾側の軟弱地盤改良工事に向けた設計変更申請の承認に関する代執行訴訟を福岡高裁那覇支部に提起した。今後、地方自治法に基づき、15日以内に口頭弁論が開かれる。県が敗訴する公算が大きいとされ、訴訟の進行によっては早ければ年内にも大浦湾側での工事が始まる見通しだ。
 訴訟の進行協議は今後行われる予定だが「中身の実質的な審理に踏み込まず、初回の弁論で結審する可能性も十分にあるのでは」(県関係者)という危惧もある。県が敗訴すれば、高裁は県に対し期限を定めて承認するよう命ずる。期限内に県が承認しなければ、国交相が県の代わりに承認し、大浦湾側での工事に着手する。県は上告できるが、最高裁で逆転勝訴しない限りは工事を止めることができない。
 2000年の地方分権改革で中央集権型の機関委任事務制度が廃止されてから、国が地方自治法に基づく代執行に向けて訴訟を提起するのは、翁長雄志前知事の辺野古埋め立て承認取り消しに対して撤回を求めた15年以来2度目。当時は裁判長から異例の和解提案があり、工事を中止して協議することを条件とした和解が成立したため、今回実際に代執行されれば初めてとなる。 (沖田有吾)