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法廷闘争に行き詰まり感 訴訟14件目 7件で敗訴 国との争い


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 辺野古新基地建設を巡る国と県の争いが、14度目の法廷闘争に発展した。両者の訴訟は、翁長雄志知事時代の2015年11月に国が県を相手に代執行訴訟を起こしたのが始まりだ。玉城デニー知事も法廷闘争路線を踏襲し、軟弱地盤改良工事に伴う沖縄防衛局の設計変更申請を不承認にして訴訟が続いた。設計変更に関しても9月に県敗訴が確定し、裁判で新基地建設を止める戦略は行き詰まりを見せる。


 これまでの訴訟13件のうち、和解や取り下げは4件あり、7件で県の敗訴が確定した。県が不承認処分の効力回復を求めた抗告訴訟は那覇地裁で、軟弱地盤からのサンゴ類移植訴訟は高裁那覇支部でそれぞれ係争中だ。

 15年10月に当時の翁長知事が仲井真弘多元知事による埋め立て承認の取り消しに踏み切ると、国は翁長知事による承認の取り消しは違法として代執行訴訟を提起。県側も15年12月、執行停止の取り消しを求める訴訟を起こすなど対抗した。16年3月、国が訴えを取り下げ、工事を中断して再協議するといった内容で和解するなど、法廷闘争は一定の成果を上げた。

 玉城県政では、20年4月に防衛局が大浦湾の軟弱地盤の改良工事に向けた設計変更を申請したことを巡る訴訟が続いた。県は21年11月、軟弱地盤の調査が不十分などとして不承認とした。国交相は22年4月、不承認を取り消す裁決をし、さらに承認するよう求める是正指示を出した。

 国地方係争処理委員会の審査を経て県は22年8月、裁決と是正指示の関与取り消しを求めて2件の訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。高裁が23年3月に県の訴えを退け、県は上告した。裁決の妥当性が争われた訴訟について最高裁は8月に県の上告を受理しないと決定。最高裁は9月にも是正指示の違法性が争われた訴訟で県の上告を棄却し県側敗訴が確定した。

(梅田正覚)