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政治家の演説力 AIが診断/ネット選挙へ新サービス


政治家の演説力 AIが診断/ネット選挙へ新サービス スピーチの研修を受ける兵庫県芦屋市の高島崚輔市長(カエカ提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 あなたの演説力、診断します―。スピーチの研修を手がける東京のスタートアップ(新興企業)が、人工知能(AI)を使って政治家の「話す力」を分析する国内初のサービスを始めた。強みと弱みを可視化した上で、個々の特徴を磨くのが狙い。インターネット選挙が普及し、演説も「バズる(広く話題が拡散される)」時代の新たな需要を見込む。
 サービスは6月に開始。1回2980円で、パソコンがあれば誰でもどこでも受けられる。
 (1)筋の通る話をする力(2)事実を扱う力(3)ストーリーを伝える力(4)核心を伝える力―の4要素を100点満点で採点。「選挙戦2日目で、地元の人通りが多い場所の朝」「道行く人に自分の名前を覚えてもらう」といった細かい設定に基づき、パソコンに向かって話す。状況別に計6回の演説をこなすと、3日から2週間程度で結果が送られる仕組みだ。
 AIは声の高さや間の取り方、話す速度を数値化。項目ごとに「日常会話よりも少し遅めで、人々の注目を集めるのに適切なスピードです」といった評価を示す。4要素の採点は現状、サービスを提供するカエカ(東京)の専門スタッフが担うが、将来的には生成AIで演説の内容も診断したい考え。
 同社はこれまで国会議員、地方議員をはじめ160人以上に対し、研修を実施してきた。史上最年少の26歳で市長となった、兵庫県芦屋市の高島崚輔氏もその一人だ。新たなサービスはAIを組み合わせた定量的な分析が売りで、代表の千葉佳織さんは「正解を示すのが目的ではない」と話す。
 監修した選挙プランナーの松田馨さんは、ネット選挙の定着で「政治家の演説は重要性が高まっている」と語り、サービスの普及に期待を示した。

スピーチの研修を受ける兵庫県芦屋市の高島崚輔市長(カエカ提供)