国土交通省は、利用が低迷している地方鉄道の再編に向け、鉄道会社や沿線自治体との調整を本格化させる。路線の存廃を話し合う「再構築協議会」の第1号として、JR西日本の芸備線(岡山、広島)の一部区間について自治体から意見聴取し、早ければ年内にも設置を最終判断する。再構築協議会とは別の枠組みで、存廃や災害復旧、利用活性化を議論している例があり、協議会設置を要請する動きが広がる可能性もある。
協議会制度は今月運用が始まり、JR西日本が3日に初めて国に要請した。対象区間の目安は1キロ当たりの1日平均乗客数を示す輸送密度が4千人未満だが、当面は千人未満を優先する。国が調整役となり、3年以内をめどに鉄道の利用促進やバス転換といった再編策をまとめ、財政支援する仕組みだ。
芸備線では、国交省が備中神代―備後庄原の沿線自治体に協議会への参加意思や条件などの意見を聞き、設置の是非や対象区間を決める。自治体側は「沿線市と協議して検討する」(湯崎英彦広島県知事)など慎重な構えで、国交省幹部は「機運が醸成されるまで時間をかけて準備する」と話した。
災害で不通となった路線などは既に存廃を議論している地域があり、不調に終われば協議会に移行する動きも出てきそうだ。ただ経営が苦しい鉄道会社と、廃線による地域衰退や路線維持に伴う財政負担増を警戒する自治体との主張の隔たりは大きい。
千人未満の路線の存廃を巡っては、JR東日本が久留里線久留里―上総亀山(千葉)について、今年5月に協議を始めた。
有料
地方鉄道再編へ協議会 芸備線一部区間、設置を検討
![地方鉄道再編へ協議会 芸備線一部区間、設置を検討](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2023/10/RS20231007G00504010100.jpg?resize=273%2C410&crop_strategy=smart)
この記事を書いた人
琉球新報朝刊
![Avatar photo](https://ryukyushimpo.jp/uploads/2023/09/favicon-21x21.png)