有料

歴史認識や世論に揺れ 日韓共同宣言から25年


歴史認識や世論に揺れ 日韓共同宣言から25年 日韓関係を巡る主な経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本による植民地支配の反省とおわびを明記し、未来志向の日韓関係をうたった1998年の「日韓共同宣言」発表から8日で25年となった。両国関係は韓国人元徴用工への賠償を巡る問題などで一時は「戦後最悪」と言われるまで悪化。昨年5月の尹錫悦(ユンソンニョル)政権発足を機に改善に転じた。歴史認識や国内世論に揺れた経緯があり、政権が代われば再び冷え込む可能性もある。
 98年の日韓共同宣言は、当時の小渕恵三首相と国賓として日本に招かれた金大中(キムデジュン)大統領が発表した。過去を直視し相互理解と信頼に基づく関係発展の重要性を明記。「21世紀に向けた新たなパートナーシップ」を構築するとした。金氏は国会で演説し、規制していた日本の大衆文化を受け入れる考えを表明した。
 だが、関係は安定しなかった。特に日本企業に元徴用工への賠償支払いを命じた2018年の韓国最高裁判決と、日本による韓国への半導体材料輸出規制強化で対立。国内保守層の支持を強く意識する安倍、菅両政権の間は改善の機運が高まらなかった。
 日本との関係を重視する尹政権は今年3月、元徴用工訴訟問題で日本企業の賠償支払いを韓国の財団が肩代わりする解決策を発表。岸田文雄首相は日韓共同宣言の継承を表明した。岸田、尹両氏の信頼関係は深まっており、新たな日韓宣言の取りまとめに期待する声も出ている。
 ただ日韓の間には島根県・竹島の領有を巡る対立が残る。過去には国内世論を意識し、相手に強い姿勢で臨んだ政権もあった。首脳や政権が代われば、関係が再び逆戻りするとの懸念は消えていない。