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タリバンに抗議、詩集出版/20カ国超57人の作品


タリバンに抗議、詩集出版/20カ国超57人の作品 編集に携わった詩集「詩の檻はない」を手にする柴田望さん=北海道小樽市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 アフガニスタンで女性の人権抑圧などを続けるイスラム主義組織タリバン暫定政権に抗議の意思を示そうと、20カ国超の57人が作品を寄せた詩集が8月に出版された。「詩の檻(おり)はない」とのタイトルで、編集に携わった北海道旭川市の詩人柴田望さん(47)は「日本の人にもアフガニスタンの現状を知ってほしい」と呼びかける。
 本は同国出身で、タリバン復権後にオランダに亡命した詩人ソマイア・ラミシュさんの訴えかけで始まる。「あなたには、私たちの声は聞こえませんか?/世界中の自由な人々よ、/自由を体現する像をもつあなたたちよ、」
 作者はフランスの著名な詩人から、日本の8歳の女の子までさまざま。校正を担当し、自身も詩を寄せた文芸評論家の岡和田晃さんは「立場の異なる作品が集まり、一枚岩でないのが面白い。今までの詩集にはなかった」と評価する。
 きっかけは、現地で詩を禁じる動きがあるとして、ソマイア・ラミシュさんが抗議のために作品を募ったことだった。その活動を2月に知った柴田さんも賛同し、自身の交流サイト(SNS)で周知するとともに詩を送り、交流を深めた。
 2021年に米軍が撤退後、暫定政権を樹立したタリバン。同政権は共同通信の取材に、市民が詩を書くことを禁止していないと説明するが、女性の教育や就労の権利を制限する姿勢には、国連などから非難や懸念が相次いでいる。
 詩集はインターネット通販のアマゾンで購入でき、収益はソマイア・ラミシュさんが設立した団体に寄付される。「アフガンの情勢に関心を持ち、想像するきっかけになれば」と岡和田さん。日本以外でも翻訳が進められ、11月にはフランスで出版予定という。

編集に携わった詩集「詩の檻はない」を手にする柴田望さん=北海道小樽市