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日本主導のルール作り AI国際規制会議始まる


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 人工知能(AI)などの課題を議論する国連の会議「インターネット・ガバナンス・フォーラム」(IGF)が8日、京都市で開幕した。AIを使った偽情報拡散や人権侵害に懸念が高まる中、日本は先進7カ国(G7)で協調し、国際ルール作りに向けIGF参加国に連携を要請する。月内にも策定するAI開発者向けの行動指針にIGFの議論を反映させる。
 IGFには巨大IT企業や学術界からも参加があり、幅広く意見を集める。日本政府はG7議長国としてルール作りの枠組み「広島AIプロセス」を主導する。
 G7は年末までに、AI利用者も含めたルールの全体像の取りまとめを目指す。企業の技術開発を阻害しないようにしつつ、国際ルール策定をリードすることで、中国やロシアへのけん制も狙う。
 岸田文雄首相は9日の会合に出席し、文章や映像を自動生成するAIを使った偽画像や偽情報は、社会や経済を脅かすリスクがあるなどとして、開発の推進と規制のバランスが必要と訴える。月内に取りまとめる経済対策に、AIの基盤技術開発を支援する予算を盛り込む考えにも言及する予定だ。
 日本政府関係者によると、広島AIプロセスでは開発者の自発的な取り組みを促す方向で調整しており、米バイデン政権が自国の大手IT企業に求めたのと同等の内容になる。
 ただ、欧州は法的責任を盛り込むよう主張しており温度差がある。
 鈴木淳司総務相は8日、米巨大ITグーグル首脳のケント・ウォーカー氏と面会。9日には米メタ(旧フェイスブック)首脳との面会も予定している。
 偽情報対策を議論する8日の会合では、AIが作成した画像や動画と判別できる技術の導入や、情報の流通経路を管理する国際的なルールを作るべきだとの意見が参加者から出た。IGFは12日までで、6千人規模の参加を見込む。

用語
 広島AIプロセス 利用者の指示で文章や画像、音声などを生み出す生成AI(人工知能)の国際的なルール形成に向けた先進7カ国(G7)の枠組み。今年5月のG7首脳会議(広島サミット)で推進することが決まった。偽情報の拡散や知的財産権の侵害を防ぐため、AI開発者や利用者に向けた指針などを策定する見込み。10月にも開く予定の首脳によるテレビ会議を経て、年末までに取りまとめる。