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役入れ替え 2公演/「南の島のスピーチライター」


役入れ替え 2公演/「南の島のスピーチライター」 「南の島のスピーチライター」で区長役を演じる渡久地雅斗(左)と朋郎役のジョーイ大鵞=9月16日、那覇市のアトリエ銘苅ベース
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 二人芝居「南の島のスピーチライター」(新井章仁脚本、当山彰一演出)が9月16、17の両日、那覇市のアトリエ銘苅ベースで上演された。演撃戦隊ジャスプレッソの渡久地雅斗と、劇団ビーチロックのジョーイ大鵞が役を入れ替え、1日2公演を披露した。
 物語の舞台は、カジノ誘致が浮上した離島。賛否に揺れる中で、帰郷した劇作家の朋朗が、区長を務める伯父のあいさつ原稿を代筆する。取材した16日午後5時開演の公演では渡久地が区長、ジョーイが朋朗を演じた。渡久地が演じる区長は気弱だがくせが強く、ジョーイが演じる朋朗は明るい雰囲気が印象的だった。稽古では、渡久地が朋朗をいたずらっぽく、ジョーイが少し堅物な区長を演じており、役者によって登場人物の雰囲気が変わった。
 カジノを誘致して島を活性化させるか、カジノに反対し島の自然を守るか。大きな決断を背負わされた区長と、家族と向き合うことから逃げてきた朋朗。2人が苦悩の中から新たな選択肢を創造していくさまは、辺野古新基地問題などに翻弄(ほんろう)される県民にとって希望に見えた。最後はJアラートが鳴り、地下シェルター建設の問題が浮上して終わる。今回の上演で加えた展開は、問題が尽きない島の現状を表した。
 役入れ替えについてジョーイは「2回初演を経験した感じ。楽しかった」、渡久地は「大変だった」と振り返った。 (田吹遥子)

「南の島のスピーチライター」で区長役を演じる渡久地雅斗(左)と朋郎役のジョーイ大鵞=9月16日、那覇市のアトリエ銘苅ベース