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がんと歩く 山が癒やす/秋田駒ケ岳/患者に医療従事者同行


がんと歩く 山が癒やす/秋田駒ケ岳/患者に医療従事者同行 秋田駒ケ岳を歩くがん患者や家族ら=9月23日
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 秋田県の医療従事者が、がん患者や家族と一緒に秋田、岩手両県にまたがる秋田駒ケ岳(1637メートル)を歩く活動に取り組んでいる。体力向上や、病気と向き合い生活を充実させるのが目的だ。直近では9月23日に開催し、参加者は初秋の自然を楽しんで「がん友ができた」と喜んでいた。
 3年前から主催するのは「山岳看護師」の資格を持つ、同県由利本荘市の熊谷久美子さん(54)。今回は医師と登山ガイドらも同行して、朝から総勢16人で歩いた。
 8合目から出発。一行は6時間かけて登頂すると、20分ほど田沢湖など眼下の雄大なパノラマを楽しみ、夕方までに下山した。
 乳がんをわずらう秋田市の佐々木孝子さん(54)は下山後、大自然を満喫したとして「宣告を受けた10年前の自分にこの気持ちを伝えたい」と声を震わせた。
 秋田市の佐藤桂子さん(65)は、3年前に大腸がんで亡くした夫と何度かこの山を歩いた。山頂では夫の写真を掲げて「ついに来たよ」と話しかけていた。
 熊谷さんは「病院とは違った患者の表情を見られるのが医療従事者にとって一番のご褒美」だという。この取り組みを全国に広げるのが目標だ。

「山岳看護師」の熊谷久美子さん

秋田駒ケ岳を歩くがん患者や家族ら=9月23日