イスラエル、ガザ完全封鎖　戦闘激化　死者１６００人超　ハマス、人質殺害警告

　【エルサレム共同】イスラエルのガラント国防相は９日、同国を攻撃したイスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザの「完全封鎖」を命じ「電気や食料、燃料を遮断する」と宣言した。イスラエル軍はガザとの境界付近の一部で装甲車や砲撃用車両を集結させ、圧力を強化している。ハマスは拘束する人質の殺害を警告し、軍の地上侵攻をけん制。戦闘は激しさを増し、双方の死者は１０日までに計１６００人を超えた。　（７面に関連）
　バイデン米政権は中東地域の緊張抑止のため、東地中海への空母派遣を決めた。米国と英国、ドイツ、フランス、イタリアの各国首脳は９日、電話会談し、イスラエルへの「揺るぎない結束した支持」を表明した共同声明を発表した。
　一方、イランの最高指導者ハメネイ師は１０日、ハマスのイスラエル攻撃への関与を否定した上で「勇敢なパレスチナの若者」の戦いを称賛した。
　イスラエルのネタニヤフ首相は９日、ハマスへの攻撃は「始まったばかりだ」とし、徹底報復を宣言。イスラエル軍が地上侵攻に踏み切れば、さらに犠牲者が増えるのは必至だ。ただハマスやガザの過激派「イスラム聖戦」は計１３０人以上の人質を取っているとされ、人質の救出作戦との両立は容易ではない。
　ハマス、イスラエル軍はいずれも１０日も攻撃を継続。イスラエルのメディアによると、イスラエル側の死者は少なくとも９００人。ガザ保健当局によるとパレスチナ側の死者は７６５人。軍の報道官は１０日、ガザとの境界に近いイスラエル領内の集落の治安を回復したと明らかにした。ハマスはガザとの境界付近で開かれていた野外音楽フェスティバル会場を襲撃、現場から２６０人以上の遺体が収容されたという。
子どもを救急車に運ぶ医療関係者＝９日、パレスチナ自治区ガザ市（ゲッティ＝共同）