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札幌市 30年五輪断念表明 34年以降招致も困難


札幌市 30年五輪断念表明 34年以降招致も困難 2030年以降の冬季五輪招致に関心を示す候補地
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)は11日、2030年冬季五輪・パラリンピックの招致を断念すると表明した。東京大会を巡る汚職・談合事件の影響などで開催支持率が伸び悩み、JOCが市に先送りを打診した。34年大会以降に切り替えて招致活動は継続するが、秋元克広市長は情勢に関し「かなり厳しい」、JOCの山下泰裕会長も「簡単ではない」との認識を示した。
 秋元市長と山下会長が共同記者会見に先立って東京都内で会談し、30年大会断念で合意。汚職・談合事件の他に、東京大会で起きた経費増大への不安も住民の理解が得られない理由に挙げた。34年大会は02年大会の開催地、米ソルトレークシティーが有力視され、38年大会を巡る動向も不透明。1972年札幌、98年長野に続く日本で3度目の冬季五輪は見通しが立たない状況となった。
 山下会長は会見で、34年以降への変更を今月初旬に秋元市長へ提案したと説明。年内にも30年大会の候補地が絞られる可能性があるとの情報があり「拙速に進めればスポーツの価値そのものに回復し難い傷を負わせる可能性がある」と語った。
 秋元市長は今後の招致活動で「しかるべき時期に民意の確認を行う。住民投票も一つの大きな手段として考えないといけない」とした。国際オリンピック委員会(IOC)との対話は続ける。岸田文雄首相は官邸で「札幌市、JOCが熟慮の結果、判断したと受け止めている」と述べ、今後の招致活動を注視する考えも示した。
 東京大会を巡る事件を受け、札幌市とJOCは昨年末から機運醸成活動を一時休止。30年大会はスウェーデンやフランスも名乗りを上げる中、一時は最有力候補とみられた札幌市は苦境に立たされていた。
 31年春ごろを予定していた北海道新幹線の札幌延伸も、遅れる見通しとなっている。