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識者談話 請求は妥当 継続注視を 組織性の立証 難しいのでは


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)の話 現在活動している宗教法人で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とその信者ほど、刑事・民事の法令違反を積み重ねてきた例は見当たらず、解散命令請求は妥当だ。大きな一歩だが、解散命令が出ても高額献金による被害救済や、悩み苦しむ「宗教2世」の問題などがただちに解決されるわけではない。継続的な注視と対応が必要だ。教団や関連団体に協力してきた政治家や学者、宗教者などは反省が求められる。他の宗教法人も、自らの活動の点検が必要だ。宗教法人にさまざまな活動を認めてきた理由としての「公益」とは何か。社会は改めて考えるべきだ。
 元宗教法人審議会委員の櫻井圀郎・元東京基督教大教授(宗教法)の話 国家による「信教の自由」の侵害を防ぐため、宗教法人法は解散命令に厳格な要件を課している。今回の解散請求は宗教法人幹部の刑事責任が問われた過去2件と異なり、不当な献金被害を認めた民事判決を基礎に置く。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の献金集めには問題があると思うが、民法の不法行為なのか、犯罪行為なのかの違いは大きい。刑事判決の後ろ支えがなければ、幹部による組織的な指示の立証も難しいのではないか。教団と元信者との間の金銭的な問題に、所轄庁による請求として宗教法人の解散を求めることには疑問が残る。