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証拠に基づき慎重な判断を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 文化庁は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求を決めた。約1年をかけて約5千点に及ぶ証拠資料を積み上げ、要件を満たしたとの判断だが、憲法で保障された信教の自由に基づき、宗教法人法は解散命令の厳格な要件を定めている。教団の行為が要件に該当するかどうか、裁判所には具体的な資料や証拠に基づく慎重な判断が求められる。
 文化庁幹部は、教団の献金集めは「社会通念上、許される範囲を超えている」と指摘する。刑事事件こそないものの、教団の法的責任を認めた多数の民事判決があり、大勢の被害者が陥った深刻な状況を考えれば、請求に踏み切った所轄庁の判断に理解を示す人は多いだろう。
 ただ、旧統一教会の高額献金問題を巡る対応は、政権の思惑に振り回されてきた感が拭えない。不当寄付勧誘防止法や質問権行使は、政権の支持率が低迷する中で、浮揚を狙った面があったことも否めないだろう。
 解散命令請求は宗教法人の存立に関わる重大なものだ。時の政権が自分たちに有利な状況を作り出すために乱用することはあってはならない。