レストランの営業を知らせる手書きのボード。色鮮やかな和洋中の料理がビュッフェ形式に並べられている。食欲をそそるにおいが店内に漂う。那覇市旭町にあるRistorante AICO×CO(リストランテ アイコッコ)の石川直美さん(52)=南風原町=は明るい声とさわやかな笑顔で接客していた。
同レストランは就労支援センターあいこが、新型コロナ禍だった2021年3月に開業した。ランチとディナーを提供している。
石川さんがあいこに入所したのは17年。そううつの症状がある。「直美ちゃん、どう?」。以前の事業所で出会った人からの誘いだった。
通所初期はクラフト製の編み物やコースターを制作していた。レストランのオープンと同時に勤務し現在に至る。
アイコッコには1カ月に20日程度出勤する。レジや調理補助、お店の清掃などの業務をこなす。メイン料理のガロニ(付け合わせ)は見栄え良く盛り付ける。「自分の働きを評価してくれる人がいる。頑張ろうと奮い立たせてくれる」とやりがいを語る。
サービス管理責任者の佐藤香菜子さんは「マルチタスクな人で周りを見る力が高い。独特な笑い声が店内を明るくさせる」と存在の大きさを語る。
レストランの従業員から「なおみ天ぷら」と親しまれているメニューがある。「普通の魚天ぷらですけどね」。石川さんの言葉に「いえいえ、石川さんが揚げるから意味があるんですよ」と佐藤さんが応じる。
「いらっしゃいませ」。今日も朗らかな声でお客さんを迎える。 (渡真利優人)
料理の前で人と接することの楽しさを語る石川直美さん=11日、那覇市旭町のRistorante AICO×CO