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打楽器の“音楽空間”一体に 古堅志希(沖縄市出身)沖縄初公演


打楽器の“音楽空間”一体に 古堅志希(沖縄市出身)沖縄初公演 リッカルド・クルチョ(右)とボンゴを使った楽曲を披露する古堅志希。視覚的要素も強くパフォーマンスのよう
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 イタリアのオーケストラで活動する沖縄市出身の打楽器奏者、古堅志希(もとき)(22)による沖縄初公演「EQUILIBRIO(エクイリブリオ)と嵐」が9月17日、宜野座村文化センターがらまんホールで開かれた。さまざまな打楽器を巧みに演奏しながら空間を支配。観客の手拍子も楽器に変え、会場が一体となって音楽を作り上げた。
 ピアノとマリンバによるコラボ「WIND ACROSS MOUNTAINS(ウインド・アクロス・マウンテン)」で幕開け。6本のばちを激しく緻密に操り、重厚な音圧を感じさせた。
 「Tap Oratory(タップ・オラトリー)」では、バックに流れる音源にスネアドラムを重ねた。ばちを回すなどのパフォーマンスを見せつつ、終始音源に合わせた。披露後、古堅が「ばちを落とさなくてよかった」と言うと、会場の空気が一気に和んだ。
 第2部はティンパニとソプラノによる「アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌」から。素手やばちの持ち手部分でたたくなど、曲想に合わせて表現を変え、音のニュアンスを聞かせた。
 イタリアで古堅と同じ音楽院に通うリッカルド・クルチョも登場。リッカルドの軽やかなビブラフォンと古堅のボンゴのリズムが心地よい「Texas Hoedown(テキサス・ホーダウン)」を披露した。2台のボンゴによる「Eye―contact for Conga(アイコンタクト・フォー・コンガ)」では、腕を立てたり、視線を合わせたりと動きも見逃せない。
 アンコールではリッカルドのビブラフォンと古堅のドラムに、ボーカルも加わり「エターナルリフレクション」を披露した。ドラムの優しいビートに会場の手拍子が合わさることで、一つの“音楽空間”が完成した。息を合わせて音を重ねることで生まれる、音楽の起源や本質を体現する演奏だった。古堅は「客席も一緒に緊張したり、楽しんだりしてほしいと思った。やりきった」と振り返った。 (田吹遥子)
ビブラフォンを演奏する古堅志希=9月17日、宜野座村文化センターがらまんホール(仲間勇太さん提供)
リッカルド・クルチョ(右)とボンゴを使った楽曲を披露する古堅志希。視覚的要素も強くパフォーマンスのよう