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<新聞週間2023・私の一言>歴史 見据えた記事を 亀浜玲子さん


<新聞週間2023・私の一言>歴史 見据えた記事を 亀浜玲子さん 亀浜玲子さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 亀浜玲子さん(69)=宮古島市、県政策参与、ハンセン病と人権市民ネットワーク宮古共同代表 私は1面のあとに社説を読む。沖縄の新聞社説は沖縄戦と戦後の状況、基地問題、復帰から今日まで抱える課題を深く捉えているのがいい。

 6月掲載のハンセン病に関する記事は意義深い。堕胎されホルマリン漬けにされた胎児標本を火葬した沖縄愛楽園の元職員の証言を報じた。

 ハンセン病隔離政策の中で療養者は子どもをもうけることが禁じられ、妊娠すると堕胎が行われた。全国的には2000年代に入って検証会議による調査が行われたが、沖縄でははっきりとした証拠が残されていないこともあり、実態が明確にされていなかった。

 それを記者が丁寧に取材を続けて事実を掘り起こした。沖縄の歴史を見据えた記事が書かれていることを力強く思う。

 地方自治を維持するためには事実に基づいた報道が不可欠だ。島々のみずみずしい出来事を伝えてほしい。新年度に施行される女性支援新法に伴う記事にも期待したい。