有料

政府、支援に民間先端技術 ウクライナ復興 医療、農業分野で


政府、支援に民間先端技術 ウクライナ復興 医療、農業分野で 先端技術を活用した日本のウクライナ支援案
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は、来年初めに日本で開催する「日ウクライナ経済復興推進会議」で、民間の先端技術を活用した支援策を打ち出す方向で調整に入った。情報通信技術(ICT)を使った遠隔医療やスマート農業を柱に据える。ロシアの侵攻を受けて傷んだウクライナ社会の再建を、官民一体で後押しする。複数の政府関係者が14日、明らかにした。
 日本は欧米諸国と異なり武器供与に大きな制約がある。このため岸田文雄首相は支援の軸足を復旧・復興に置く。民間企業のビジネスチャンスにつなげる狙いもある。
 日本による支援策を話し合う経済復興推進会議にはウクライナのシュミハリ首相を招待しており、同国側のニーズを聞き取る。両国の民間企業にも参加を呼びかけ、双方のビジネスマッチングを進めたい考えだ。
 浮上している支援策の一つは、デジタル医療システムの導入だ。例えば傷病者の超音波検査を、高品質で遅延の少ない映像として日本に送信。日本の専門医が現地の医療処置をリアルタイムでサポートする。日本の新興企業が開発し、国内でも導入が広がっている。
 農業分野では、農場に設置した各種センサーをインターネットでつなぎ人工知能(AI)で管理する支援サービスが挙がる。湿度、日射量、土壌温度といったデータを分析し、水やりや追肥、収穫日など最適解を示してくれる。ウクライナが一大産地の小麦やヒマワリの栽培支援を想定する。
 他にも浄水技術やサイバーセキュリティーの支援を検討している。トルコ企業とウクライナ国内で合同事業を展開する構想もある。ウクライナ側からはガス田開発や農産品輸出への支援を求める声が寄せられている。
 9月に林芳正外相(当時)がウクライナを訪問した際、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長ら日本企業関係者が同行。ゼレンスキー大統領やシュミハリ氏に直接、自社の取り組みを説明した。