有料

物価高不満、浮揚できず 統一教会関係も足かせに    


物価高不満、浮揚できず 統一教会関係も足かせに     報道各社の月の世論調査
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

支持率最低の岸田内閣
 岸田内閣の支持率が報道各社の世論調査で最低水準に沈んだ。
 物価高を巡る不満が政権に向かい浮揚できない。
 自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も足かせとなり、八方ふさがりの様相だ。岸田文雄首相は不安を抱えたまま、20日召集の臨時国会と22日投開票の統一補欠選挙を迎える。

いら立ち
 「全然支持率が上がらないのはなぜなんだ」
 首相は、15日に出た各社の調査結果を周囲が知らせると、思わずうなった。東京電力福島第1原発処理水放出や教団の解散命令請求など「重要案件」(政府筋)をこなしてきたのに、支持率が上向かないことへのいら立ちがにじんだ。
 首相周辺は「国民は物価高への対応に疑問を抱いているのではないか」とみる。厚生労働省が6日発表した8月の毎月勤労統計調査では、実質賃金は17カ月連続のマイナスとなった。物価上昇に賃上げが追い付いていない実態が露呈し、首相の掲げる「賃上げ実現」が空疎に響く。
 そんな状況を危惧した自民幹部は16日、官邸サイドに「エネルギー価格高騰への対応を優先すべきだ」と進言。息を合わせるように首相は同日午後、東京都内でスーパーマーケットを視察後「エネルギー価格の激変緩和措置をしっかり検討する」と記者団に表明した。

逆風
 教団との関係はなお政権に影を落とす。共同通信の調査では、内閣を支持する層でも、自民が教団との関係を「断てていない」「あまり断てていない」との回答が計40・3%に上り、根強い不信感を浮き彫りにした。
 一因として自民内で指摘されるのが13日の細田博之衆院議長の辞任会見だ。教団との過去を問われ「特別な関係はない」などと詳細な説明を拒んだ。
 女性記者へのセクハラ疑惑報道を巡り、被害者から申告がないなら被害はないと反復した発言と併せて「世論の反感を買った」(閣僚経験者)可能性がある。
 実際、政党支持率でも自民は9月の前回調査と比べ3・6ポイント減の34・7%。今月15日投開票の東京都議立川市選挙区の補選では議席を得られず、ベテランは「逆風が強まった」と警戒する。

予防線
 自民はさらに失点を重ねる。木原稔防衛相が15日の衆院長崎4区補選の演説で、自民候補の応援が自衛隊の苦労に報いることになると支持を訴えたのだ。野党は「自衛隊の政治的中立を侵す」と猛反発。立憲民主党の安住淳国対委員長は「首相は更迭しないと駄目だ」と迫る。
 失地回復の糸口をつかめない中、官邸筋は統一補選に関し「1勝1敗でも仕方がない」と早速予防線を張る。
 首相は16日夜、最低水準の支持率について記者団から問われると、自らに言い聞かせるように「一喜一憂しない」と語った。
 内閣改造後の各社調査で、目立った支持率上昇がなかった9月と同じ言葉を繰り返した首相。苦境が見て取れる。