有料

DBS法案先送り 年明け以降 与党内から異論


DBS法案先送り 年明け以降 与党内から異論 政府が示した子どもの性被害防止対策の新たな具体的内容のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は16日、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を確認する「日本版DBS」制度の創設法案の提出を、年明けの通常国会以降に先送りすると決めた。子どもの性被害防止などに関する関係府省庁会議が同日に首相官邸で開かれ、加藤鮎子こども政策担当相が報告した。当初は20日召集の臨時国会を目指したが、義務化の対象職種を保育所や学校に限定したことなどに、与党内から異論が相次いでいた。
 岸田文雄首相は16日の会議で、保育や教育現場での対策強化のために防犯カメラ設置費用を公費で補助すると表明した。月内にまとめる経済対策に関連項目を盛り込む。
 DBS法案の提出先送りで、性被害対策が後退したとの批判を避けようと、代替策を打ち出す必要があると判断したもようだ。
 首相は「子どもが性被害に遭う事件が後を絶たない。性犯罪、性暴力は重大な人権侵害であり、あってはならない」と強調した。
 会議で示された新たな具体的内容は、保育所や幼稚園、特別支援学校での防犯設備設置への支援が柱となる。施設内にカメラを設置することで日々の状況を記録し、性被害や不適切保育の抑止を図る。パーティションを設け、子どもの着替えなどの場面でプライバシーを保護する。
 子どもの性被害対策の先進的な取り組み例をまとめ、関係者らに周知するとともに、指針の作成に生かす。
 加藤氏はDBS法案に関し「次期通常国会以降の、できるだけ早いタイミングで提出していく」と会議後に官邸で記者団に説明した。
 ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長(2019年死去)による未成年者への性加害問題などを受け、政府は7月に緊急対策パッケージを策定。男性・男児に特化した相談窓口新設などを打ち出している。 

用語
 子どもの性被害対策
 政府はジャニーズ事務所の性加害問題などを受け、子どもや若者への性暴力防止のための緊急対策を7月に取りまとめた。雇用関係などの立場を利用した性犯罪の取り締まりにおいて、厳正対処を掲げた。「日本版DBS」の導入に向け、検討加速も明記。その後も大手中学受験塾で教え子への盗撮といった事案が次々と明らかとなり、一層の対策強化を求める声が上がっていた。