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働く性的少数者の声聴いて/インディードが冊子刊行/誰もが職場で自分らしく


働く性的少数者の声聴いて/インディードが冊子刊行/誰もが職場で自分らしく ライフマガジン「BE」(インディードジャパン提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 LGBTQ+など性的少数者が自分らしく働けるように―。求人検索エンジンを提供するインディードジャパン(東京都)が、当事者が職場で抱えるリアルな“声”を伝えるライフマガジン「BE」を刊行した。当事者31人の働く姿を特集し、企業の環境整備のためのガイドも紹介。電子版を特設サイト「Indeed Rainbow Voice 2023」で無料公開している。

 BEは、LGBTQ+当事者の働き方や仕事探しを支援するため、同社が創刊、今回は第2弾。100ページにわたって、当事者のインタビューや職場での体験談、意識調査の結果などを掲載。研修用の教材として使う企業もあるといい、ある当事者は「できることから取り組んでほしい」と話す。
 同社が今春、実施したLGBTQ+当事者千人への意識調査では、約4割が「職場で生きづらさを感じる」と回答。企業の人事担当500人の調査では、性的少数者の従業員への支援に取り組む企業は全体の24%で、大企業が39%に対して中小企業は18%だった。取り組んでいない理由では大企業は「何からはじめてよいか分からない」、中小企業は「支援に関心のある社員がどれくらいいるか分からない」が最多だった。
 「自分にうそをついたり、心に重荷を持ったりせずに生きていける社会であってほしい」。6月、東京・六本木の書店で開かれたBEの発刊記念イベントでは、LGBTQ+当事者や企業関係者らが語り合った。
 参加した佐藤サエさんは、勤務先が多様性を尊重する姿勢を表明していたことに背中を押され、職場でカミングアウトしたところ、前向きに受け止めてくれた、と実体験を紹介。「自分らしく人間関係も築ける。安心して働ける環境だと感じます」と語った。
 BEでは、職場や家庭などで関わる人が100人いた場合「うち約9人はLGBTQ+当事者の可能性がある」とのデータも掲載。編集に携わった、性的少数者の支援団体「fair」代表理事の松岡宗嗣さんは「『うちにLGBTQ+はいない』と思い込んでいる経営者も少なくないが、まず『職場内にいる』という前提に立って取り組んでほしい」と、企業に促す。
 当事者にとって職場でカミングアウトすることは「共に生きていることを実感してもらう対話の機会になり重要だが、ハラスメント被害に遭うなどのリスクもある。カミングアウトしてもしなくても、安心できる職場づくりが求められている」と強調した。

松岡宗嗣さん

「BE」刊行記念イベント。参加者がそれぞれの職場の実情などを語り合った=東京都港区

ライフマガジン「BE」(インディードジャパン提供)