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救急で同意なく情報閲覧 マイナ保険証、来年にも


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」で閲覧できる患者の医療情報を、意識不明の状態で病院へ救急搬送された際の治療に活用する方針を固めた。関係者への取材で17日、分かった。通常は必要な本人同意を不要とし、迅速な救命につなげる。2024年10月にも導入する。マイナ保険証を巡っては別人情報のひも付けが8千件以上発覚しており、医療情報の取り違えにつながりかねない誤登録の解消が課題となる。
 マイナンバー制度は相次ぐトラブルで国民の不信を招いた。マイナ保険証の利用も低迷しており、救急医療での活用の是非は議論となりそうだ。
 マイナ保険証を使って医師らが薬の処方歴などを閲覧する際は、患者本人の同意を得る必要がある。だが個人情報保護法には、生命に関わる事態では本人の同意なく個人情報を取得できるとの例外規定がある。そのため厚生労働省は、医療情報についても緊急時の同意は不要と判断した。
 関係者によると、救急患者の意識がなかったり、もうろうとしていたりして本人の意向を確認できない事態を想定している。マイナ保険証を携帯していれば、医師がカードの写真などから本人かどうかを確認し情報を閲覧する。
 携帯していない場合も氏名や生年月日、性別、住所の4情報を付き添いの家族から聞き取るなどして対応できるようにする。将来的には、搬送中の救急車内での運用も検討する。
 誤登録などのトラブルを受け岸田文雄首相はマイナンバーの個別データの総点検を23年11月までに行うよう指示。結果を12月上旬にまとめるよう関係閣僚に求めている。