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【記者解説】米軍の無人偵察機配備、地元説明から1週間で実施 県外との扱いに大差 沖縄軽視


【記者解説】米軍の無人偵察機配備、地元説明から1週間で実施 県外との扱いに大差 沖縄軽視 嘉手納基地に飛来した、米軍の無人偵察機MQ9=18日、米軍嘉手納基地上空
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍のMQ9の嘉手納基地への配備計画について県が見直しを要請した背景には、国との共通理解だった「沖縄の基地負担軽減」が形骸化し、地元の意向を無視した負担増強が続くことへの強い危機感がある。要請文は、1950年代に県外で相次いだ米軍基地反対運動などによって当時米統治下の沖縄に基地が移転したことに触れ、今回の移駐はその経緯を「思い起こさせる」と問題視。沖縄に基地が集中してきた歴史と重ねて強く批判した形だ。


 配備は地元説明から1週間で実施された。鹿児島県の海自基地に暫定配備された際は、遅くとも本格展開の約10カ月前には計画が地元自治体に説明されており、沖縄の扱いの軽さもにじむ。長い期間、過重な基地負担に苦しんできた沖縄では、より丁寧な説明があってしかるべきだ。軽視するような対応を政府が続ける限り、県民の納得は得られない。


 米中対立の激化などで南西地域は今後も緊張緩和は見通せない。その中で国防最優先の国の理屈を通してしまえば、沖縄の基地負担は増強へと「逆回転」しかねない。(知念征尚)