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新たな負担 沖縄憤り 無人機 嘉手納移駐 事故原因明かさず、鹿屋不満


新たな負担 沖縄憤り 無人機 嘉手納移駐 事故原因明かさず、鹿屋不満 米軍の無人偵察機MQ9=12日、鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)に一時配備されている米軍の無人偵察機MQ9は、米空軍嘉手納基地に移駐される。1年間の配備期間が守られることに鹿屋では安堵(あんど)感が広がるが、8月にオーバーランした原因を明かさない防衛省の対応には不満も残る。沖縄では新たな負担に憤りの声が上がっている。 (27面に関連)
 「多様な任務に当たれる。ここでは情報収集が目的だったが、武器も搭載できる」。10月12日、鹿屋航空基地で、丸みを帯びた独特のフォルムの機体を前に、米軍の操縦士は得意げに説明した。
 MQ9は南西方面の警戒監視の強化を目的とし、昨年11月に鹿屋で運用を始めた。今年8月22日、1機が基地内の滑走路を逸脱し、地上施設に接触。1カ月以上、飛行を停止していた。
 防衛省は9月29日、鹿屋市に飛行再開を連絡。米側の調査で機体の安全性が確認されたと説明したが、オーバーランの原因は「米軍のルール上、公表できない」とした。
 中西茂市長は取材に「地域の安全安心が重要と言っているのだから、事故原因を明確にして対応策を説明する必要があるのではないか。情報提供の壁の高さを改めて感じた」と述べた。
 鹿屋は南西方面の警戒監視に当たる海自哨戒機の拠点で、頻繁に航空機が発着する。基地周辺の町内会長らでつくる市基地関係連絡協議会委員の福永浩文さん(59)は「今回は基地内の事故でけが人もいなかったが、外に落ちたらこんな説明では済まない。対応が変わらないのなら問題だ」と指摘した。
 MQ9は8機いずれも嘉手納に移り11月中にも本格運用を開始。在日米軍専用施設の約7割が集まる沖縄の負担が増す。
 鹿屋市の自営業の60代女性は「沖縄への移駐は少し複雑。押し付けているかもしれないと思うと何とも言えない」。第4次嘉手納爆音訴訟原告団長の新川秀清さん(86)は「戦争の足音が聞こえるようだ。沖縄がこれ以上、本土のために犠牲になるのは許せない」と怒りをあらわにした。
米軍の無人偵察機MQ9=12日、鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地