有料

是正と合区、バランス考慮


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 昨年7月の参院選で最大3・03倍だった「1票の格差」を合憲とした18日の最高裁大法廷判決は隣接県を統合する合区導入後の過去2回の判断を結果的には踏襲しながら「さらなる是正は喫緊の課題」として都道府県単位にこだわらない抜本的な選挙制度見直しの必要性に言及した。合区を巡る問題点の解消と、有効な是正策の両立が困難な事情を踏まえバランスを考慮した過渡期の判断と言える。
 2016年選挙で始まった合区は7年を経てプラスとマイナスの両面が浮かぶ。それまで5倍前後で推移していた格差が3倍程度となり大幅な格差縮小には寄与したが、対象地域のうち自県以外から候補者が擁立された地域では有権者の無関心を招き、投票率の深刻な低下が顕在化している。
 地方票を重んじる自民党が次期25年選挙で目指す合区解消にも課題がある。今回を含む最高裁の3度の合憲判決はいずれも合区の維持を前提としており、仮に解消する場合は格差拡大の防止策がセットとなる。ただ議論の要となる参院改革協議会の議論は各党の利害に関わり、停滞感が強い。
 投票価値の平等の実現は憲法の要請だ。議員選出の過程に対する疑問は立法府への信頼に直結する問題だと捉え、さまざまな角度から議論を前に進めていく必要がある。