昨年6月施行の改正公益通報者保護法で定められた内部通報体制の整備状況について、消費者庁が都道府県や市区町村などの行政機関を対象に一斉調査する方針を固めた。改正法は小規模な自治体であっても体制整備に努力義務を課している。同調査は5年ぶりで、改正後では初めて。過去の調査と比較して行政機関の対応が改善されたかを調べ、民間企業を含めたさらなる内部通報者保護制度の浸透を図る。
公益通報者保護法は2006年、大手企業の牛肉産地偽装やリコール隠しなどの不祥事が内部告発を機に相次ぎ発覚したことを受け施行された。消費者庁が16年度に調査した行政機関と民間企業の一部で相談受け付け体制が未整備と判明。20年に改正法が成立し、相談窓口設置などの内部通報体制整備についての義務や努力義務を明記した。
16年度の行政機関への調査は各府省庁と都道府県、市区町村を対象とし、計1806機関の状況を分析。内部職員からの通報を受け付ける窓口は全ての府省庁と都道府県で設置されていたが、市区町村では52・4%だった。
法改正に先立って開かれた内閣府消費者委員会の専門調査会は「町村の規模が小さくなるにつれて内部通報窓口の設置率が低下する傾向にある」と指摘。「行政機関は民間事業者を率先する立場にある」として内部通報体制の整備対象とした。
また民間企業に対しても法改正後の実態把握調査を予定、本年度内の結果公表を目指す。民間の内部通報体制を巡っては今年、保険金不正請求問題が起きた中古車販売大手ビッグモーターで内部通報体制が未整備であったとして、消費者庁は今年9月、公益通報者保護法に基づいて同社を行政指導している。
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行政 内部通報体制調査へ 消費者庁 保護法の整備状況確認
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琉球新報朝刊
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