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ガザに初の支援物資 ハマスは人質2人解放


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム共同=橋本新治】パレスチナ自治区ガザ南部とエジプトの境界にあるラファ検問所が21日に再開し、支援物資を積んだ複数のトラックがガザに入った。一方、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは20日、拘束する人質のうち、米国籍の女性とその娘を解放した。ハマスとイスラエル軍の大規模戦闘開始後、人質解放とガザへの物資搬入はいずれも初めて。イスラエルの「完全封鎖」でガザは人道危機が深刻化している。 (3、7面に関連)
 ハマスには人質解放で、イスラエル軍が準備を進めるガザへの地上侵攻を遅らせたいという狙いがあるとみられる。ブリンケン米国務長官は20日、米国籍を持つ約10人の行方がなお分からないと指摘した。イスラエル軍は21日、人質は210人と発表した。ハマスは200~250人と主張している。
 人質解放はカタールが仲介した。ハマスは通信アプリで「人道的な目的で解放した」と主張。条件次第でさらに解放する可能性を示唆した。ブリンケン氏は記者会見で「人質は即時に無条件で解放されるべきだ」とし、ハマスとの取引に否定的な考えを示した。
 イスラエルメディアなどによると、解放されたのは米シカゴ近郊在住のジュディス・ラーナンさん(59)と娘ナタリーさん(17)。親族の誕生日に合わせイスラエルを訪問中、ハマスの襲撃に巻き込まれた。
 英BBC放送によると、21日にガザに入ったトラックは20台で、薬などが積まれていた。再度搬入が行われ、避難生活を送る住民に十分な物資が行き渡るかどうかは見通せない。外国籍を持つガザ住民のエジプト入国が認められるかも不明。ラファ検問所は「20日にも再開」との見通しがあったが、関係国との調整が難航していたもようだ。
 死者は計5700人以上となった。