イスラエルからの邦人退避のため派遣されていた航空自衛隊のKC767空中給油輸送機が21日午前3時15分ごろ、羽田空港に到着した。邦人や韓国人ら計83人が搭乗。13日に国外待機命令が出てから初めて、自衛隊機による日本までの退避が実現した。防衛省は今後も自衛隊部隊の国外待機を継続し退避活動に備える。現地情勢は流動的で、派遣が長期化する可能性がある。
21日未明、羽田空港に到着した人たちには、幼い子ども連れの姿もあり、バスに分乗しターミナルビルへ。リュックサックやボストンバッグを持ち、疲れた表情で入国審査を受けた。子ども5人と横浜市の実家に向かう40代女性は「自衛隊機が飛ぶので非常事態だと思った」。イスラエル人の夫は現地に残っており「すごく悩んだ」と苦しい胸の内を明かした。
イスラエルで約20年暮らし、夫と長男(5)と帰国した別の40代女性は「携帯も持っていないし、これからどうしようか」と途方に暮れた様子。「戦況が落ち着けばまた戻りたい。イスラエルもパレスチナも子どもが安心して暮らせるようになってほしい」と願った。
KC767で羽田空港に到着した83人は、日本人60人と外国籍の家族4人、韓国人18人と外国籍の家族1人。日本時間の20日未明にイスラエルのテルアビブを出て、隣国ヨルダン経由で日本に向かった。
防衛省はKC767とC2輸送機2機の計3機をヨルダンとアフリカ東部ジブチに派遣。C2はヨルダンとジブチで待機を続け2回目以降の輸送に備え態勢を維持する。
自衛隊はイスラエル退避のため、統合任務部隊を編成している。空自と陸上自衛隊で計約420人。空自は輸送機を運用し、陸自は移動する邦人の支援や関係機関との調整に当たっている。
(共同通信)