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中国大使 金杉氏起用へ 7年ぶり「非中国語組」


中国大使 金杉氏起用へ 7年ぶり「非中国語組」 金杉憲治氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本政府が次期駐中国大使に金杉憲治駐インドネシア大使(64)を起用する方向で最終調整していることが21日、分かった。近く閣議決定する。複数の日中外交筋が明らかにした。約7年ぶりに中国語研修組「チャイナスクール」出身ではない大使となる。日中関係の停滞が長期化する中、「非専門家」を最前線へ送り込み、局面打開につなげる狙いがある。

 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受け、中国は日本産水産物の輸入を全面停止した。スパイ容疑をかけられたアステラス製薬の日本人社員が逮捕された事件や、尖閣諸島を巡る緊張など、両国関係には課題が山積、新大使は難しい対応を迫られる。

 金杉氏は1983年に外務省に入省。米国が専門で、アジア大洋州局長や外務審議官(経済担当)を歴任した。情報収集力に定評があり、2018年6月の史上初めての米朝首脳会談ではリエゾン(連絡要員)として派遣された。インドネシア大使就任後は、交流サイト(SNS)で公務を紹介するなど情報発信にも力を入れている。中国大使はここ2代連続でチャイナスクール出身者が就いており中国語研修組ではない大使は16年まで務めた木寺昌人氏以来となる。

 垂秀夫現大使は20年11月に着任。中国側が21年12月、安倍晋三元首相の「台湾有事は日本有事だ」との発言に抗議した際には「日本国内にこうした考え方があることを理解する必要がある」と反論し、毅然(きぜん)とした対応だとして注目を集めた。

 在中国日本大使館を巡っては、22年2月に館員が中国当局に一時拘束される事件が発生。極めて異例で、背景に日中関係の悪化があるとみられている。

(東京、北京共同=鮎川佳苗、福田公則)