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中国大使 金杉氏起用へ 「強硬派」から転換狙う


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本政府が次期駐中国大使に金杉憲治駐インドネシア大使を起用するのは、対中「強硬派」として知られる垂秀夫現大使の交代を一つのきっかけに、停滞打破を図る思惑がある。だが中国側には「最近の日本は米国より突出した反中の急先鋒(せんぽう)だ」(中国政府筋)との不信感があり、関係改善の難航は必至だ。

 垂氏はチャイナスクールの中でも中国語圏での勤務経験が特に長く、北京駐在の第三国外交官の間では専門家としての知見に一目置かれている。ただ厳しい態度で中国に反論する姿勢を示しており、外交筋によると、垂氏と中国高官の会談は、時に険悪な雰囲気になることもあったという。

 昨年発生した在中国日本大使館員の一時拘束は、幅広い人脈を持ち情報収集に当たる垂氏を中国が危険視し、「警告」(外交筋)する狙いだった可能性がある。

 金杉氏は対中外交も管轄するアジア大洋州局長を務めた経験があり、高い情報分析力や米国などとの豊富な人脈で知られる。岸田文雄首相は中国との関係立て直しに意欲的だ。習近平指導部も米中対立を背景に対日関係の安定化を必要としており、今回の起用を早期に把握し、日本の対中外交方針への影響を注視している。

 (共同=鮎川佳苗)