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鈴木 信行 18 健康は自分で管理する


鈴木 信行 18 健康は自分で管理する イラスト 鈴木勇介
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「そんなにすぐおなかを壊すなら病院へ行ったらいかがですか?」
 生まれつき二分脊椎という病気を持つ私は、腸の動きが悪いために、よくおなかを壊します。誰かと会っているとき、そのような状況になって相手の方に説明すると、時々こう言われます。
 親切から出た言葉をいただきながらこんなふうに言うのは失礼とは思いますが、病院へ行けば病気が治るものではありません。風邪など一般的な疾患も含め、病院に行ったところで何ら対処できないという状況は多々あります。医療には限界があり、過信してはいけないと思うのです。
 日本は医療への依存が諸外国よりも強いようです。それには皆保険制度のため医療費の自己負担が少ない、病院や医師を自由に選べるといった幾つかの理由があります。
 そうした制度を否定する意図はありませんが、病気を治すのは自分であり、治らなくても病気と向き合うのは自分だ、という意識を持つ必要があります。「先生にお任せします」とは言わない社会にしたいのです。
 病気は必ずしも治さねばならないものではなく、場合によっては受け入れ、付き合いながら一生を過ごすという発想も大切だと考えます。
 医療はとても「不確実性」が高い分野です。ある医師によれば「人の顔が全員違うように臓器だって違う」そうです。マニュアル通りに対処しても、反応が予想通りとは限らない。私たちの体は画一的な工業製品とは違います。意識や感情も持っています。とても難しい対象に医療者は向き合っていると思うのです。
 そこで、体の状態を自分で判断し健康を管理する「セルフメディケーション」という意識を大切にして、一人一人が自分の望む健康な生活を考え、行動する文化が必要だと私は考えています。
 そのために誰もができることとして、ぜひ本音で話せる薬局を探してほしいのです。医師には病気にならないと会えませんが、薬剤師には薬局が開いていれば会えます。厚生労働省も「かかりつけ薬剤師」を決めることを推奨しています。
 薬剤師は医師にかかった方が良いと判断すれば医療機関に行くよう勧めてくれますし、市販薬で済む、あるいは何も対処しなくてよいと思えば、そうアドバイスしてくれることでしょう。
 病院の近くにある薬局だと忙しく相談しづらいかもしれません。ぜひ自宅の近くで自分と相性のよい薬剤師を探してみてほしいと思います。(患医ねっと代表)
  (次回は30日掲載)
イラスト 鈴木勇介