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低所得世帯に受験補助 政府経済対策案 高3で5万円程度


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が、ひとり親世帯や低所得世帯の高校3年生と中学3年生に対し、大学受験や模擬試験にかかる費用を補助する方針を固めたことが22日、分かった。高校3年生への補助額は5万円程度を想定している。家庭の経済状況による教育格差を解消し、進学機会の確保につなげるのが狙い。来月まとめる経済対策に盛り込み、2023年度の補正予算案に反映させる方針。自治体の手続きに一定の時間が必要なため開始は24年度を見込む。
 対象となるのは、児童扶養手当を受け取っているひとり親世帯や、住民税非課税世帯の子どもで、受験することを条件とする。中学3年生には模試の費用を助成。高校3年生には模試の費用に加え、大学入学共通テスト(1万8千円程度)や大学受験料を支援する方向だ。国立大の2次試験は1万7千円、私立大の受験料は3万5千円程度が多い。
 ひとり親世帯や低所得世帯の子どもは、親の所得が少ないことなどを背景に進学率が低いケースが多く、就職先の選択肢が狭まり、将来的に低収入になる「貧困の連鎖」が課題となっている。
 政府はこれまで低所得世帯の小中学生に対し、学用品や修学旅行などにかかる費用を支援してきたほか、大学授業料などの減免制度も設けた。ただ有識者から受験に対する支援が手薄との指摘が出ていた。
 子どもの進学状況 文部科学省の調査によると、高校卒業後の大学や短大への進学率は2022年5月1日時点で、83・8%だった。一方、厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」では、ひとり親世帯の子どもが高校卒業後に大学や短大、専修学校などに進学した割合は21年11月1日時点で、65・3%にとどまっている。