衆参補選　自民１勝１敗　徳島・高知失う　首相に痛手　長崎４区は制す

　与野党対決となった衆参２補欠選挙が２２日、投開票された。参院徳島・高知選挙区で野党系の無所属元職の広田一氏（５５）が自民党新人を大差で破り、３度目の当選を果たした。衆院長崎４区で自民新人の金子容三氏（４０）＝公明推薦＝が競り合いを制した。秋の２補選は、発足２年の岸田政権への「中間評価」。両選挙区は元々自民の議席だけに、臨時国会の与野党論戦を控えた岸田文雄首相への痛手となった。　（３面に関連）
　首相は投開票日前の２０日、税収増の還元策として所得税減税を含め検討するよう指示したとアピールしたが、議席死守につながらなかった。内閣支持率が低迷する中、年内の衆院解散はさらに難しい情勢となりそうだ。
　２補選は、第２次岸田再改造内閣の発足後、初の国政選。政権の物価高対応や首相の政治姿勢などが争点となった。共産党の独自候補擁立見送りを受け、野党側候補が一人に絞られ、立憲民主党などが自民に対抗する態勢が整った。
　立民の大串博志選対委員長は、支援した広田氏の勝利を巡り「幅広い野党の力を結集できた。岸田政権への厳しい声の結果だ」と党本部で記者団に述べた。自民の茂木敏充幹事長は「謙虚に受け止め、臨時国会の論戦に緊張感を持って臨みたい」と党本部で記者団に語った。
　参院徳島・高知選挙区は、「合区」導入後初の補選。立民、共産などの支援を受けた広田氏は無党派層を含め政権批判票を掘り起こした。自民新人の西内健氏（５６）＝公明推薦＝は自民支持層を固め切れなかった。衆院長崎４区で勝利した金子氏は自民党岸田派に所属した金子原二郎元農相の長男。同派が組織戦を展開した。共産の自主的支援などを受けた立民前職の末次精一氏（６０）＝社民推薦＝は及ばなかった。
参院徳島・高知選挙区の補欠選挙で当選を決め、万歳する広田一氏＝２２日夜、高知市
衆院長崎４区補欠選挙で初当選を決め、万歳する金子容三氏＝２２日深夜、長崎県佐世保市