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「勧進帳」と現代演劇融合 長唄をラップに 境界越え 「木ノ下歌舞伎」公演 なはーと


「勧進帳」と現代演劇融合 長唄をラップに 境界越え 「木ノ下歌舞伎」公演 なはーと 木ノ下歌舞伎「勧進帳」公演の一場面=9月29日、那覇文化芸術劇場なはーと大劇場(三上一行撮影)
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 歌舞伎の演目を現代演劇のアプローチで上演する「木ノ下歌舞伎」(木ノ下裕一主宰)の公演「勧進帳」が9月29日~10月1日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーと大劇場で開かれた。敵対する立場や忠義を超えた関係性など、さまざまな境界線を越えていく様にラップを用いるなど表現の幅も超えて披露した。1日の昼公演を取材した。 (田吹遥子)
 公演は、源義経と弁慶の関所越えを描いた歌舞伎の演目「勧進帳」を木ノ下歌舞伎流に再構成した。今回は、大劇場内の客席が対面するように特設舞台を設置した。俳優たちが鳴らす音が客席に振動するほど近い距離で観賞できた。
 義経一行を関所で待ち構える富樫左衛門らの場面からスタート。富樫を演じる坂口涼太郎の緩急付けた演技が、観客を引き込んだ。
 山で修業を行う「山伏(やまぶし)」に扮(ふん)して関所を超える中、義経をあえて荷物持ちの「強力(ごうりき)」にした弁慶。義経を強力として粗雑に扱う弁慶の覚悟をみて、富樫は一行を通す。弁慶が義経を忠義以上に慕う複雑な感情を表したリー5世と、全て受け止める包容力さえ感じた高山のえみの演技が会場の涙を誘った。
 境界線を示した舞台上のラインは、光で表現した。出現したり消えたりする境界線が、より現実味を帯びて感じられた。歌舞伎で長唄で聞かせる場面はラップで表現した。
 義経一行と富樫の平和的な宴の後、一行を通した富樫が罪に問われるニュースの音声が聞こえ、現実に引き戻すような余韻を残して閉幕した。
 終盤に流れた曲「小さな世界」にもメッセージ性を感じた。 
木ノ下歌舞伎「勧進帳」公演の一場面=9月29日、那覇文化芸術劇場なはーと大劇場(三上一行撮影)