リバイバル６９　～伝説のロックフェス～　桜坂劇場・１１月４日公開　音楽愛で集い高みへ

　巨大な会社に大勢の社員。その全員が音楽愛を理由に集い、大きなフェスをどんどん企画し、実現し、運営し、そしてまた企画する。１９６９年に開催された「トロント・ロックンロール・リバイバル」は、そんな彼らの音楽愛が理由で生まれ、伝説となった。愛に偶然と奇跡と運命が重なり、輝き出すまでの過程を、運営スタッフの視点でつづった本作。主催者、ジョン・ブラウワーの「ビジネスじゃないんだ」って言葉通り、全員が、ロックのことだけを思い、集っていた。
　チャック・ベリーやリトル・リチャードといった当時のレジェンドを、若いミュージシャンが心から敬愛し、緊張しながらバックバンドを務める様子や、若い観客の体にロックが染み込んでいく様子。企画から本番終了まで、ハプニングに見舞われ続けても、絶対になんとかするスタッフ。皆が皆、それぞれのやり方でロックに恋い焦がれ、高みへ上り詰めようとする熱気に、あっという間にほだされる。監督はロン・チャップマン。
　（桜坂劇場・下地久美子）