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ガザ侵攻 先延ばしか イスラエル、米要請受け 人質多数解放も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ワシントン、エルサレム、ニューヨーク共同】米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は25日、米当局者らの話として、イスラエルが米国の要請を受け、パレスチナ自治区ガザへの地上侵攻を先延ばしすることに同意したと報じた。イスラエル紙ハーレツは25日、ハマスが拘束する人質の多数が数日以内に解放される可能性があると報道。関係筋は「2日以内」の合意が期待されていると語った。 (7面に関連)
 いずれの報道も関係国や当事者は公式確認していない。地上侵攻の時期と人質解放を巡る駆け引きが活発化している。
 ネタニヤフ首相は25日夜、国民向けにテレビ演説し「地上侵攻を準備している」と言及。イスラエル軍は25日夜から26日未明、ガザ北部で標的を定めた陸上部隊の越境作戦を実施した。「次の戦闘段階に向けた準備の一環」としている。軍放送は、これまでより規模の大きな作戦だったと伝えた。
 一方、国連安全保障理事会は25日、イスラエル軍やイスラム組織ハマスに「一時的な戦闘中断」を要請する米国提出の決議案を採決し、中国とロシアが拒否権を行使、否決された。常任理事国の特権による安保理の機能不全が再び露呈した。
 WSJ紙は侵攻開始時期には触れていない。地上侵攻に伴い武装勢力による攻撃が想定され、米国は中東諸国に駐留する米兵を守る必要があると判断。米軍は週内にも防空システムを配備する。イスラエルはガザへの支援物資搬入や人質解放に向けた交渉も考慮した。
 バイデン米大統領は25日の記者会見で、人質解放まで地上侵攻を控えるようイスラエルに求めたのか問われ「人質を安全に解放できるのであれば、そうすべきだと伝えた」と説明した。人質は224人。
 安保理では、米決議案の「戦闘中断」より長期間にわたる「停戦」を求めるロシア提出の決議案も採決したが、賛成票が足りず否決された。中国の張軍国連大使は、停戦を呼びかけない米国案では「大規模な軍事作戦に道を開く」と指摘した。