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識者談話 


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 捏造指摘への 反発が透ける
 元検事の亀井正貴弁護士の話 検察側が再審公判で有罪立証にこだわった背景には、東京高裁の再審開始決定で証拠捏造(ねつぞう)の可能性にまで言及されたことへの強い反発が透けて見える。主張としてはこれまでの裁判と同じ内容の繰り返しで、証拠を合理的に判断すれば有罪に至るという検察側の変わらぬ見方を示したものだ。これで有罪を勝ち取れるとまでは考えていないと思うが、「証拠捏造」の再評価を含め、証拠全体への総合的な判断が改めて示されることを期待しているのだろう。

冤罪救済を 一刻も早く
 成城大の指宿信教授(刑事訴訟法)の話 これほど長期間死刑囚として拘置されてきた事件で、再審開始の意義は大きい。死刑適用の是非を検討し、慎重な審理が求められたはずの裁判もやり直さなければならない現実を、司法機関は正面から受け止めるべきだ。一刻も早く冤罪(えんざい)から救済する仕組みが求められ、再審制度に関する法改正は急務だ。また、そもそも冤罪を防ぐ制度改革も必要だ。人質司法とならないよう取り調べの弁護人立ち会いや身柄の早期釈放を進め、適切な証拠開示に基づいた裁判でなければならない。