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福島第1汚泥増加 汚染水処理が滞る恐れ


福島第1汚泥増加 汚染水処理が滞る恐れ 放射性汚泥を入れたポリエチレン製容器(東京電力提供)
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 東京電力は、福島第1原発の多核種除去設備(ALPS)で発生する汚泥の保管場所を拡張する。現状では2028年1月に満杯になり、汚染水を処理水へ浄化する作業が滞る懸念がある。東電は、敷地内で別の用途に使う施設の建設予定地を転用し、汚泥を入れる容器576基分の保管場所を確保。満杯時期を数年単位で先延ばしできるとしている。
 第1原発では、1~3号機の溶融核燃料(デブリ)を冷却する水と雨水や地下水が混じり、汚染水が増加している。汚泥は、トリチウムを除く放射性物質をALPSで浄化する過程で発生。直径1・5メートル、高さ1・8メートルのポリエチレン製の容器に詰め、数基ずつをコンクリート製の箱に入れて保管している。
 10月19日時点で敷地内の容器は4254基。東電は計4768基分の保管場所を確保しているが、汚泥は年150基のペースで増えている。今回の拡張で計5344基まで置けるようになった。
 容器の増加そのものを抑制する取り組みも続けている。汚泥を脱水し体積を減らす施設の建設を計画。27年3月の運転開始を目指している。
 ただ汚泥の発生はゼロにはできず、最終的な処分方法や処分場所も決まっていない。汚染水の処理が進めば、増加のペースが早まる懸念もある。東電は「想定より汚泥が増えた場合は、状況を踏まえ速やかに対策する」としている。