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疲れや悩み共有して/当事者学生がアプリ配信へ


疲れや悩み共有して/当事者学生がアプリ配信へ 疲れを共有するアプリ「Focus on」のクラウドファンディングのQRコード
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 1人で抱え込まないで―。愛知県一宮市出身で立命館大3年の森本陽加里さん(21)が、疲れや悩みを可視化し、周囲と共有するスマートフォン用アプリの配信に向け、クラウドファンディング(CF)で寄付を呼びかけている。自身が発達障害で苦労した経験を踏まえ「頑張り過ぎてダウンする前に、周囲に助けを求められるようになってほしい」と願う。
 配信予定のアプリは「Focus on」という名称で、12月配信を目指し、最終テスト中。利用者は発達障害など周囲に気付かれにくい困難を抱える人、共有相手は家族や教員、パートナーなどを想定している。
 アプリは、朝と夜に自分の疲れ度合いを5段階で入力。長期間疲れが続いていたり、急速に疲れが悪化したりした場合は画面に「そろそろ休んで!」と表示される。
 入力内容は、事前に登録した共有相手も見ることができる。1日の終わりには「何がつらかったか」「どう対処したか」などの質問に答えて共有し、身近な人が状況を知って迅速にサポートできる。入力者自身が自分の悩みを理解する狙いもある。
 森本さんは小さい頃から、大きな音に強い痛みのような感覚を受けやすく、周囲の「暗黙のルール」を理解することが苦手だった。知らない間に疲れがたまり、2回、不登校に。自分が他の人とどう違うのか分からず、何がつらいのかを言葉に置き換えるのが難しかったという。日々積み重なる困り事を整理し、分かりやすい方法で共有する仕組みが必要だと感じた。
 CFで集まった資金は開発費などに充てる。森本さんは「周囲の人に自分の世界をのぞいてもらい、いろんな助けを借りて生きづらさを軽減してほしい」と話している。