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新型コロナ 後遺症に関心を/感染者の1~2割、長引く症状/5類移行で把握しにくく/患者「目を向けて」


新型コロナ 後遺症に関心を/感染者の1~2割、長引く症状/5類移行で把握しにくく/患者「目を向けて」 新型コロナウイルス感染症 後遺症の症状例
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 新型コロナウイルス感染者の一定数がさまざまな後遺症に苦しむ実態が、複数の調査で少しずつ分かってきた。一方で5類移行後、感染状況だけでなく後遺症の頻度も見えづらくなったとの声がある。街は流行前のにぎわいを取り戻してきたが、症状に苦しむ人は「少しでも良いので後遺症にも目を向けてほしい」と訴えている。

もどかしさ

 東京都の大学生は昨年5月に耳鼻咽喉科を受診し、PCR検査で新型コロナの感染が発覚した。当初は喉の痛みだけだったが、およそ1カ月後に体のだるさを感じた。朝起きられず、学校も休みがちになった。後遺症外来などで漢方薬や抗うつ薬などをもらって治療を続けている。
 新型コロナが5類になった今年5月から社会経済活動は活発化。一方でこの大学生は体調に浮き沈みがあり、予定を入れられない。「思うように動けない人もいるという厳しい現状もある。多くの人が流行当初に感じたであろう(思い通りにならない)もどかしさを忘れないでほしい」

軽症でも

 後遺症といっても感染との因果関係の証明は難しい。世界保健機関(WHO)は「感染から3カ月の時点でみられ、少なくとも2カ月以上持続し、他の病気による症状として説明ができないもの」としている。世界で倦怠(けんたい)感、息切れ、記憶力の低下など200を超える症状が報告されている。
 厚生労働省研究班は9月15日、オミクロン株を含めた感染者の1~2割に後遺症があったとの調査結果を公表した。研究班の磯博康・国立国際医療研究センターグローバルヘルス政策研究センター長は「海外と同様に日本に苦しむ人がいることが示された」と説明。標準的な治療法は確立しておらず「症状に悩む患者が適切な医療を受けられるようにするには研究を続けることが必要だ」と強調する。
 東京都の別の調査によると、後遺症で受診する人の多くがコロナの症状自体は軽かったという。オミクロン株が流行中の昨年1~7月に感染し、後遺症の疑いで外来を受診した119人では、コロナ発症時に軽症だった人が71%、中等症が4%、重症度不明が25%だった。

流行の後

 過去には後遺症に悩む人が流行の波から少し遅れて増加する傾向もみられた。
 後遺症に詳しい横山彰仁・高知大教授(呼吸器内科学)は「5類に移行後、感染者が全数把握されなくなったことに加え、感染しても受診しない人が増えた」と話し、中長期的に影響する後遺症の実態が把握しにくくなっていることを心配する。対応が長期化する中で「苦しんでいる後遺症患者を見放さないことが大切だ」と話している。