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ガザ「戦争は新段階」 イスラエル、地上部隊追加


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム共同=岡田隆司】イスラエルのネタニヤフ首相は28日夜、記者会見し、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザに地上部隊を追加投入したと述べ、「戦争が新たな段階」に移ったと表明した。ハマス掃討と人質奪還を目的とした本格侵攻に向け、地上作戦を強化する段階とみられる。ネタニヤフ氏は「長く厳しい戦争になる」と訴えた。 (10面に関連)
 イスラエル軍は29日午前、拡大越境作戦と並行し、28日からハマスの作戦指揮所や監視ポストなど450以上の標的を空爆したと表明した。
 ガザ地区内の地上部隊はハマスの小隊を攻撃。ガザ北部で迫撃弾攻撃などを受け兵士2人が負傷したと明らかにした。
 AP通信によると、ガザ北部のシファ病院近くの道路も29日未明に空爆を受けた。シファ病院はガザ最大級の医療機関で、住民数万人が避難所として身を寄せる。イスラエルは、ハマスが同病院の地下に拠点を築いていると主張している。断絶していたガザの通信網は29日、復旧し始めた。
 イスラエルが「完全封鎖」するガザは物資不足による人道危機が深刻化。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は29日、数千人のガザ住民がUNRWAの倉庫に押し入り、小麦粉や衛生用品などを強奪したとして「公共の秩序が崩壊し始めている」と懸念を表明した。
 ガザの保健当局は29日、戦闘の死者が8005人になったと発表。イスラエル側と合わせ、死者は計9400人以上となった。
 記者会見でネタニヤフ氏は「第2の独立戦争だ」と主張、1948年のイスラエル独立戦争(第1次中東戦争)と同様に国家の存立を懸けた戦いだとの認識を強調した。