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「子の利益侵害」なら単独 法制審 家裁判断で修正案 離婚後共同親権


「子の利益侵害」なら単独 法制審 家裁判断で修正案 離婚後共同親権 離婚後の親権のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 共同親権には、離婚後に父母とも養育に関われるなど、家族関係の多様化に対応できるとの意見がある一方で、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害が続くとの懸念が強い。修正案では、子どもの利益が侵害されるような場合、共同親権は認めないと打ち出した。
 修正案は31日の部会で示され、今後の議論で内容をさらに詰める。法制審が要綱をまとめれば、来年の通常国会に民法改正案が提出される可能性があるが、曲折も予想される。
 共同親権では、子どもの進学や病気の長期的治療といった重要な事項は、基本的に双方の合意で決定。日常生活に混乱が生じないよう、父母の一方を「監護者」に指定することを必須とすべきだとの意見もあったが、関係者によると、修正案は「必須とする規律は設けない」とした。
 また、別居親側が子どもと定期的に会う「面会交流」に関し、新たな枠組みを提示。家裁への交流の申し立てを、一定の要件を満たせば父母以外の第三者も可能とする。「孫に会えない」と訴える祖父母の要望などを踏まえたとみられる。
 離婚後の共同親権導入を検討する法制審議会(法相の諮問機関)部会の、要綱案取りまとめに向けた「たたき台」修正案の概要が29日、関係者への取材で分かった。離婚後に父母双方の「共同親権」を可能とし、父母が合意できなければ家裁が判断する枠組みは維持。その上で、家裁の判断時に、共同親権なら「子の利益を害する」場合、家裁は父母どちらかの単独親権と定めなければならないと新たに記す。