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中ロに水産禁輸撤廃要求 G7貿易相 経済威圧拡大を憂慮


中ロに水産禁輸撤廃要求 G7貿易相 経済威圧拡大を憂慮 G7共同声明のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 大阪・堺両市で開かれた先進7カ国(G7)貿易相会合は29日、不当な貿易制限など「経済的威圧」の広がりに憂慮を示す共同声明を採択し、閉幕した。中国とロシアを念頭に、日本の水産物を含めた不必要な輸入制限の即時撤廃を要求。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に反発する中国が禁輸に動いて以降、G7の声明に輸入制限撤廃が初めて明記された。
 議長を務めた西村康稔経済産業相は閉幕後の記者会見で、経済的威圧などに「G7が結束して対応することで一致した」と説明。ロシアも追随した日本産水産物の輸入制限に関しては「科学的根拠に基づかない措置を受け入れないという日本の考え方に(G7をはじめ各国から)幅広く支持を得た」と強調した。
 共同声明は、鉱物資源や半導体、蓄電池などの重要物資について、G7内外の信頼できるパートナー国と強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)の構築に向け団結すると明記した。
 重要鉱物を巡る「最近の輸出管理措置への懸念」も表明した。電気自動車(EV)の材料となる黒鉛(グラファイト)の輸出規制を今月20日に発表した中国を想定した言及とみられる。
 このほか、不透明な産業補助金や技術移転の強要に対する懸念を共有し、保護主義や市場をゆがめる政策・慣行を抑えるため協力することで合意。ロシアによるウクライナ侵攻については残虐さと違法性を指摘し「可能な限り最も強い言葉で非難する」とした。