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抗HIV薬 感染予防にも 厚労省、企業に開発要請


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 エイズウイルス(HIV)に感染した人の治療目的で承認されている抗HIV薬を、感染予防目的でも使えるようにするため、厚生労働省が、製造販売するギリアド・サイエンシズに開発要請をしたことが同省などへの取材で分かった。欧米では予防目的での使用が既に認められ、世界保健機関(WHO)も推奨しているが、国内に承認された薬はなく、企業側からの申請もなかった。
 開発要請は9月1日付。日本エイズ学会から要望があり、厚労省の専門家検討会議が8月末に了承していた。要請を受けたギリアド社の担当者は「日本での薬事申請を進める」とコメントした。
 対象となる薬は「ツルバダ」。感染リスクが高い人らが性交渉などの前に服用する予防投与は「PrEP(プレップ)」と呼ばれる。
 米疾病対策センター(CDC)によると、投与量や間隔などのルールを守れば、性行為によるHIV感染を99%防ぐ効果が期待できるという。
 国内では国立国際医療研究センターなどのチームが臨床研究で有効性を確認。自由診療などの形で使用している医療機関がある。ただ個人輸入している人もおり、健康被害が出たり、不適切な使用によって薬に耐性を持つウイルスが出現したりする懸念があった。
 同センターエイズ治療・研究開発センターの田沼順子医療情報室長は「予防の重要な選択肢の一つだと、国の認識が示された」と指摘。服用する場合は、専門家の指示に従うよう求めた。