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長期金利1%超え容認 日銀、緩和策を再修正 ローン・設備投資に影響


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 日銀は31日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の再修正を決めた。長期金利が上限としていた1%を一定程度超えることを容認する。無理に1%以下に抑え込むことで債券市場がゆがむ副作用を防ぐ狙いがある。修正は長期金利の上限引き上げを決めた7月以来。植田和男総裁は会合後の記者会見で「副作用が発生する少し前に動きたいと判断した」と説明した。 (4面に関連)
 マイナス金利政策など大規模緩和の大枠は維持し、賃金の上昇を伴う形で物価上昇率を2%に安定させる好循環の実現を後押しする。植田氏は実現に「少し前進したと言える」との認識を示したが、「十分な確度で見通せる状況には至っていない。粘り強く金融緩和を継続する」と語った。
 長期金利が上昇すれば、固定型住宅ローンや企業向け融資の金利上昇につながる。消費や設備投資が減り、景気に悪影響が出かねない。
 再修正は、植田氏ら政策委員9人のうち8人の賛成で決めた。中村豊明審議委員は反対した。
 従来は長期金利が1%を超える場合、日銀が無制限に国債を買い入れる「指し値オペ」で金利を抑えることにしていたが、再修正では上限を「1%をめど」として1%を超えることも容認する。
 投機による上昇は抑えるが、景気拡大による上昇はある程度認める方針だ。先行きの金利水準について、植田氏は「1%を大幅に上回るとはみていない」とした。
 会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2023年度の消費者物価上昇率の見通しを7月に示した前年度比2・5%から2・8%、24年度は1・9%から2・8%、25年度は1・6%から1・7%にそれぞれ上方修正した。