冒頭のバレエのシーンに息をのみ、最後のコンテンポラリーダンスに圧倒され、見終わった後、解放感と爽快感に包まれる。
パリのバレエ団でエトワールを目指すエリーズは舞台上で完治困難な骨折をしてしまう。直前には恋人の裏切りを目にしたばかりだというのに。「泣きっ面に蜂」とはこのことで、人生の喜びも将来への希望も一気に失ってしまう。
エリーズに自分を重ねて、大きな挫折や悩みに直面し、目の前が真っ暗になった経験を思い出し彼女とともに泣く。人は誰もが目指したものになれるわけではないし、かなわなかった夢の方が累々と積み上がりいつしか何が夢だったのかさえ忘れてしまう。
それでも、人生の道は一本ではないと気づけば、積み上げた努力は自然に生かされるもので、そこから見えてくるものの方が深くいとおしいことだってある。絶望から立ち上がるエリーズの姿が、まぶしくてうれしい。監督はセドリック・クラピッシュ。 (スターシアターズ・榮慶子)
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絶望から立ち上がる ダンサー イン Paris シネマパレット・きょうから
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琉球新報朝刊
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