防衛省は2日、フィリピンへの輸出契約が結ばれていた国産の防空レーダー4基のうち、1基を10月に納入したと発表した。2014年に武器禁輸政策を転換し「防衛装備移転三原則」を制定して以降、完成品の防衛装備輸出は初めて。岸田文雄首相が3日にフィリピンを訪れて行うマルコス大統領との首脳会談で、両国の防衛協力の進展を歓迎する見通しだ。
フィリピン政府にとっては南シナ海で中国との領有権争いが激化する中、航空機やミサイルといった空からの脅威への備えを強める狙いがあるとみられる。
日本政府は引き続きフィリピン軍の能力向上を後押しする考えで、4月に創設した同志国軍支援の枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の第1弾として、沿岸監視レーダーも供与する方針。3日の首脳会談で合意する。
防衛省によると、防空レーダーの輸出は20年8月、三菱電機がフィリピン国防省との間で契約。固定型の警戒管制レーダー3基と移動型レーダー1基を計約1億ドルで納入すると取り決めた。
最初の1基は22年10月、日本国内で製造を完了。フィリピンへ輸送して設置し、運用試験やフィリピン空軍の要員への教育などを行った。先月24日、こうした準備を済ませて軍に引き渡した。
防衛省は残る3基についても、納期の25年までの納入に向けて官民一体で取り組むとしている。
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国産防衛装備を初輸出 比に防空レーダー
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琉球新報朝刊
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