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第1回琉球芸能公演プロデューサー 西角井正大に聞く 組踊と琉舞を組み合わせ 沖縄芸能復興に使命感


第1回琉球芸能公演プロデューサー 西角井正大に聞く 組踊と琉舞を組み合わせ 沖縄芸能復興に使命感 国立劇場の第1回琉球芸能公演で上演された組踊「女物狂」 (1967年1月28日付の琉球新報紙面より)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 1967年1月26~29日には国立劇場のこけら落とし公演の一環として、同劇場は第1回琉球芸能公演「琉球舞踊 御冠船踊(おかんせんおどり)」を開催した。当時の公演のプロデューサーを務めた西角井正大に話を聞いた。

 当時は、国の文化財保護委員会の職員だった。琉球芸能公演の話があって、自分から手を挙げて担当した。学生の頃から琉球芸能が好きだったのもあるが、沖縄戦による沖縄の人の苦しみに胸が締め付けられる思いがあった。沖縄の復興のためという使命感で取り組んだ。
 沖縄の芸能に精通していた仲井真元楷さんが訪れて「沖縄の本土復帰に向けて、沖縄の芸能復興から始めたい」と強い思いを託してくれた。
 当時、東京では戦時中に沖縄から本土に疎開した人たちが琉球舞踊を披露することはあったが、沖縄の実演家が少なかったため、組踊が披露される機会はほとんどなかった。組踊と琉球舞踊を合わせて「御冠船踊」としてプログラムを組んだ。
 前日に雪の中で沖縄からの芸能団をお迎えした。公演は舞台正面の監事室から見ていたが、気持ちが沸き返ったのを覚えている。
 沖縄を研究する専門家をはじめ観客の反応もよかった。終演後に芸能団は静岡や大阪などへ向かった。ほっとした気持ちよりも、国立劇場でまた上演してほしいという思いだった。
 (談)