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杉田氏「制度がおかしい」 自身への人権侵犯認定


杉田氏「制度がおかしい」 自身への人権侵犯認定 自民党の杉田水脈衆院議員
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 アイヌ民族や在日コリアンに関する差別的言動を巡り、札幌と大阪の法務局から人権侵犯と認定された自民党の杉田水脈衆院議員=写真=は、X(旧ツイッター)への1日付投稿で法務省の認定制度自体を批判した。制度に問題があると指摘した保守系月刊誌の評論記事を添付動画で取り上げた上で「制度としておかしいということがよくわかります」と書き込んだ。自身の正当化を図った形で、レイシズム(人種差別主義)の助長が懸念される。
 杉田氏について、岸田文雄首相は10月31日の参院予算委員会で「傷つけられた方々に謝罪した上で、表現を取り消したと認識している」と答弁した。杉田氏の投稿は首相説明と異なっているようにも受け取れる。政府と自民執行部の対応が問われそうだ。
 人権侵犯を認定されたのは「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさん」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などの言動。杉田氏は1日付の投稿で、月刊誌記事を踏まえ「人権の定義に法的根拠はない」ことが分かったと記し、法務局判断の正当性に疑問を呈した。
 認定制度についても「強制力のない任意の措置」であるとの指摘を紹介。月刊誌のユーチューブ番組に出演し、こうした軽い措置を理由にメディアから批判される自身の方が被害者だとの認識を示唆した。
 杉田氏問題を巡っては与党内からも「国会議員としてふさわしい言動を心がけるべきだ」(山口那津男公明党代表)などの声が上がる。
 新聞労連は1日、差別的な発言を謝罪、撤回して議員辞職するよう杉田氏に求める声明を出した。