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蛍光灯、27年末で製造禁止 水俣条約会議 水銀規制で合意


蛍光灯、27年末で製造禁止 水俣条約会議 水銀規制で合意 3日、スイス西部ジュネーブで閉幕した水銀に関する水俣条約の第5回締約国会議
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ジュネーブ共同】水俣病の原因となった水銀を包括的に規制する「水銀に関する水俣条約」の第5回締約国会議が3日、スイス西部ジュネーブで閉幕し、直管蛍光灯の製造と輸出入を2027年末までに禁止することなどで合意した。25年末での製造・輸出入禁止が既に決まっている電球形蛍光灯と合わせ、全ての一般照明用蛍光灯の製造が終わることになる。
 発光ダイオード(LED)照明への切り替えが進んでいる日本は今回の協議を主導し、条約採択から10年の節目で成果を出すことに貢献した。
 合意の背景には、LED照明の世界的な普及がある。蛍光灯の製造と輸出入は禁じられるが、28年以降も使用や在庫品販売は継続できる。水俣条約は13年10月に熊本県で採択され、17年8月に発効。現在は147カ国・地域が加盟している。
 日本照明工業会によると、日本メーカーで現在も蛍光灯を製造しているのは2社。
 会議では、水銀を使用したボタン型電池や化粧品、水銀含有触媒を使用するポリウレタンについても25年末までに製造や輸出入を禁止することで合意した。水銀で汚染された廃棄物の基準値を15ppmとすることも決めた。
 一方、歯科治療での水銀使用禁止は合意できなかった。小規模金採掘で金の抽出に使う水銀で、環境や人体への悪影響が出ていることについても、水銀使用による危険性の住民への周知徹底を各国に求めたが、禁止に向けた具体的な措置は取れなかった。25年11月3~7日にジュネーブで開催予定の次回締約国会議以降に課題を持ち越した。
 今回会議の開幕日には「水俣病被害者互助会」の佐藤英樹会長(68)と妻スエミさん(67)が演説した。2人とも未認定患者で、水銀による健康被害をなくすため多くの国が水俣条約に参加するよう訴えていた。
 水銀に関する水俣条約 水銀と水銀化合物による環境汚染や健康被害の防止を目指す国際条約。鉱山での採掘から輸出入、使用、廃棄まで包括的に規制する。熊本県水俣市でチッソの工場が毒性の強いメチル水銀を含む排水を流し、汚染された魚介類を食べた住民らに手足のしびれなどの症状が相次いだ日本も水銀規制に積極的に取り組んだ。熊本市で2013年10月に開かれた国際会議で採択され、17年8月16日に発効した。